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診療案内Medical Information

形成外科Plastic Surgery

Gaspare Tagliacozzi 1597
イタリア法造鼻術

形成外科の歴史は古く、紀元前6~7世紀のインドで鼻削ぎの刑を受けた人に対する造鼻術や、ルネッサンス時代のイタリアで梅毒による鼻欠損に対する造鼻術が報告されています。
日本国内で形成外科診療が開始されたのは約60年前であり、日本では比較的歴史の短い診療科ですが、現在社会において無くてはならない診療科となっています。
日本形成外科学会ホームページにおいて『形成外科は身体に生じた組織の異常や変形、欠損、あるいは整容的な不満足に対して、あらゆる手法や特殊な技術を駆使し、機能のみならず形態的にもより正常に、より美しくすることによって、みなさまの生活の質 “Quality of Life” の向上に貢献する、外科系の専門領域』と定義されています。
患者様の気持ちに寄り添い、最適な治療を提案し、我々の技術を用いて皆様がより良い人生を送るためのお手伝いをしたいと考えています。

診療内容Contents of Diagnosis and Treatment

主な診療内容は以下の通りです。

再建

【遊離皮弁を用いた再建】

腫瘍切除後等で広範な皮膚軟部組織欠損が生じた場合や、術後の難治性潰瘍が生じた場合等において植皮、皮弁、筋皮弁、遊離皮弁等の術式を用いたさまざまな再建手術を行っています。当科は日本マイクロサージャリー学会評議員である経験豊かなスタッフが在籍しており、最新の治療を行うことが可能です。

頭頸部再建:

頭頸部癌治療において、主科である耳鼻科や口腔外科を中心としたチーム医療の一翼を担っています。口腔癌や咽頭癌手術後の欠損に対して主に遊離皮弁を用いて合併症を予防し、嚥下や会話などの機能を維持し、整容面にも配慮した再建を目指しています。

頭頸部再建の例

採取する皮弁の種類

  • ・大胸筋皮弁
  • ・広背筋皮弁
  • ・肩甲骨
  • ・前腕皮弁
  • ・小腸、大網
  • ・前腕皮弁
  • ・腹直筋皮弁
  • ・肋骨
  • ・前外側大腿皮弁 など

【乳房再建】

インプラントを用いた人工物による再建および、広背筋皮弁や腹部穿通枝皮弁による自家組織再建を行っています。
再建時期に関しては、乳癌切除と同時におこなう1次再建、または乳癌治療が落ち着いた後におこなう2次再建ともに行っています。

人工物による再建:

大胸筋の下にティッシュエキスパンダーを挿入し生理食塩水を注入して拡張させ、その後半年から1年程度でインプラントに入れ替えます。

・大胸筋の下にティシュエキスパンダーを挿入

・生理食塩水を注入

・インプラントに入れ替え

自家組織による再建:

広背筋や遊離腹直筋皮弁(腹部穿通枝皮弁)による乳房再建をおこなっています。

広背筋皮弁

・背中の皮膚と脂肪、筋肉(広背筋)を移植

・広背筋を栄養する血管を切り離さず胸部に移動(有茎皮弁)

遊離腹直筋皮弁(腹部穿通技皮弁)

・血管を切り離し胸部に移植/血管吻合
 筋肉の犠牲は最小限にしています
・下腹部にきずが生じます

顔面骨骨折など外傷

顔面骨骨折(前頭骨、眼窩、鼻骨、頬骨、上顎骨、下顎など)に対して治療を行い、必要に応じて吸収性プレートやチタンプレートなどを用いて手術を行っています。受傷部位により適切な手術時期が異なりますので、顔面骨骨折の受傷後は出来るだけ速やかに受診されてください。また顔面の皮膚軟部組織の外傷は整容的に重要であり、形成外科的な手技を用いて縫合を行います。

熱傷

さまざまな原因で生じた熱傷(高温液体熱傷、火炎熱傷、化学熱傷)や、重篤な広範囲熱傷、特殊部位(手・顔面など)の熱傷、小児熱傷などの治療を行います。

当院では2023年9月1日付けで施設基準が変更され、同月より自家培養表皮移植ジェイス(2009年1月保険収載)、自家細胞混濁液RECELL(2022年9月保険収載)を当院で使用することが出来るようになり、既に実際に使用しています。また従来行われているメッシュ植皮に加えMEEK植皮(2020年7月保険収載)など最新の治療を行っています。ヒト塩基性線維芽細胞増殖因子(2001年保険収載)は上皮化の促進、瘢痕の質の改善の観点から積極的に使用し、新規創傷被覆材料等は速やかに導入するようにしています。

当科は日本熱傷学会専門医が在籍しており、軟膏や創傷被覆材による保存的加療か手術加療が必要なのか適切に判断し、患者様の救命や生活の質の改善のため、最新の知見を踏まえ最適な治療を行います。

先天異常

多指(趾)症、裂手などの四肢の先天異常、唇顎口蓋裂、先天性眼瞼下垂、耳介形成不全などの顔面・耳の先天異常などの治療を行います。耳介形態異常のうち折れ耳や埋没耳などは早期の矯正装具により手術せずに改善することがありますので、出来るだけ早めの受診がお勧めです。

悪性腫瘍

形成外科は再建を得意とする診療科であるため、再建方法を踏まえた上で、術後の整容的・機能的な問題を考慮しながら皮膚癌や軟部組織肉腫など悪性腫瘍の切除を行うことが可能です。最新のガイドラインに沿った治療を行います。

リンパ浮腫

癌によるリンパ節郭清後や特発性のリンパ浮腫に対して治療を行います。以前は進行性で不治の病と言われていましたが、圧迫療法に加え手術を行うことで改善を目指します。手術はスーパーマイクロサージャリー(超微小外科)の技術を用いてリンパ管と静脈をつなぐリンパ管静脈吻合を行います。その技術を持つスタッフが在籍する限られた施設でしか行うことが出来ません。

【リンパ管静脈吻合】

リンパ浮腫はリンパ管のうっ滞により生じており、顕微鏡下でリンパ管と静脈を吻合し、リンパ管のうっ滞を解消させることで改善を目指します。

リンパ管静脈吻合

【赤外線観察カメラシステム】

当科は赤外線観察カメラシステムを有しておりリンパ管吻合や局所皮弁、遊離皮弁術などに使用しています。
ICGを静注し、リンパの流れやリンパ管の位置などを観察します。また、皮弁の血流評価にも用います。

ICG (Indocyanine green)—インドシアニングリーン

生体内で血漿蛋白と結合すると発光するという特性を利用して、血流分布やリンパ流等を体表面から観察します。

レーザー

乳児血管腫、単純性血管腫、毛細血管拡張症などに対する色素レーザー治療(Vビームレーザー)を行っています。乳児血管腫は長年待つことで自然退縮(瘢痕は残存する)するため以前は経過観察のみで無治療とされていました。しかし増殖期早期に色素レーザーの照射を開始することで乳児血管腫の消失や自然退縮した際の瘢痕の縮小が望めることにより全国的に早期レーザー照射が行われるようになりました。当科でも紹介を受け次第、速やかに治療を開始しておりますので早めの受診をお勧めします。

また炭酸ガスレーザーを所有していますので小さな皮膚腫瘍の切除に使用しています。Qスイッチルビーレーザーなどは所有していませんので、扁平母斑や異所性蒙古斑の治療に必要と判断した際は他院に紹介いたします。

眼瞼下垂

先天性眼瞼下垂症はもちろんですが、加齢に伴う後天性眼瞼下垂症(眼瞼皮膚弛緩症、腱膜性眼瞼下垂)も保険適応疾患であるため、多くの患者様が来院され手術を行なっています。眼瞼下垂により瞳孔中心に瞼の縁がかかっている、または瞼縁と瞳孔中心の距離が近い、そしてそれに伴い頭重感、肩こりがある方は手術により改善する可能性がありますので、当科をご受診ください。

手の外傷

切断指への再接着、指尖部欠損に対する指尖部再建など、形成外科が得意とするマイクロサージャリーの技術を用いて手術を行います。手の外傷は専門的な知識と特殊な技術(腱縫合や顕微鏡下での微小血管の吻合・神経縫合)が必要で、その後のリハビリテーションも重要となります。当院作業療法士と協力し集学的に治療を行います。

ケロイド・肥厚性瘢痕

ケロイドは本来その人の持つ体質と好発部位(前胸部・下腹部・肩・膝など緊張と緩和が繰り返し起こる部位)に傷ができることから発生します。
ケロイドは傷跡の範囲を超えて増殖し見た目にも目立ちますが、痒みや痛みを伴い日常生活に影響を及ぼします。そのまま切除すれば必ず再発しますが、術後電子線照射を行うことで再発率を大幅に下げることが可能です。
ケロイド術後の電子線照射を行うことが可能な施設は限られていますが、当院では放射線科と協力し積極的に治療にあたっています。また形成外科的な知識を用いてケロイドが再発しにくい切除方法を適用します。
手術を希望されない場合はさまざまな保存的加療を行います。

下肢難治性潰瘍・褥瘡

糖尿病、血管障害(虚血・うっ血など)による下肢難治性潰瘍や褥瘡に対して外科的治療を中心に行います。皮膚灌流圧検査や種々の検査、臨床所見をもとに難治性潰瘍の原因を的確に判断し治療を行います。また院内外における難治性潰瘍、褥瘡への保存的療法に関してアドバイスを行います。

日本形成外科学会ホームページに「形成外科で扱う疾患」が記載されておりますのでご参照ください。

外来診療についてのご案内About Outpatient Care

当科の外来受診には紹介状が必要です。初診の患者様は必ず紹介状を持参して下さい。
初診・再診ともに完全予約制です。予約のない患者様はご対応しかねますのでご了承ください。
赤ちゃんの先天異常、顔面骨折や熱傷などの外傷、悪性腫瘍などは早期診察が必要となりますので、予約が取れない場合は予約のお電話をされる際にご相談ください。
美容目的(小さなホクロのレーザー治療など)の受診は他院美容外科へ紹介となる場合がありますのでご了承ください。

外来予約用の電話番号:093-691-7666

外来予定表

午前 - - - 初診・再診 -
午後 再診 - 初診・再診 外来手術 初診・再診
外来手術

※学会や出張等で休診の可能性があります

外来診療担当表

形成外科
(初診・再診)
午前 - - - 兵藤 伊久夫
伊藤 哲
春原 誠
-
午後 担当医
(再診予約のみ)
- 遠藤 淑恵
伊藤 哲
的野 渚千
- 兵藤 伊久夫*
遠藤 淑恵*
担当医
レーザー 午前 - - - (予約) -
午後 - - (予約) - -
予約手術 午前 - - - - -
午後 - - - 兵藤 伊久夫 -

※学会や出張等で休診の可能性があります

*手術日程次第で休診の可能性があります

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